「使っているPHPのサポートがもうすぐ終わる」と聞いても、すぐに更新できるとは限りません。
業務システムでは、更新によって画面や帳票、外部との連携が動かなくなることもあります。見積もりを取ってから作業を始めるまでに、社内で予算や停止できる時間を決めなければならない場合もあります。
PHPのサポート終了に備えるには、期限だけを確認して終わらせず、調査、改修、テスト、本番への切り替えをいつ行うか決めておくことが大切です。
この記事では、受発注システムを例に、担当者が社内外の予定をそろえながら更新計画を立てる進め方を紹介します。
※PHPのサポート期限は2026年10月27日時点の公式情報を基にしています。最新情報はPHP公式と利用しているサービスの提供元をご確認ください。
PHPのサポートが終わると何が変わる?
PHPには8.2、8.3といったバージョンごとにサポート期間が設けられています。PHP開発元のセキュリティサポートが終わると、そのバージョンには原則として新たなセキュリティ修正が提供されなくなります。新しい脆弱性が見つかっても、使い続ける環境のリスクを減らしにくくなります。
PHP公式の一覧によると、PHP 8.2のセキュリティサポートは2026年12月31日までです。PHP 8.2を使っている場合は、修正版の適用だけでなく、サポート中の新しいバージョンへの移行も計画する必要があります。[1]
サーバーやOSの提供元が独自に修正を提供する場合もあります。契約中のサービスについて、対象範囲と提供期限を確認してください。
なお、2026年10月に公表された脆弱性への対応状況は、更新計画とは別に早急に確認します。計画づくりが終わるまで、必要な修正の確認を待つという意味ではありません。[2]
今回の脆弱性の影響確認や管理会社への連絡については、次の記事で紹介しています。 https://nichicoma.co.jp/blog/php-vulnerability-impact-and-vendor-checklist
まず更新対象と期限を一覧にする
ひとつの会社でも、Webサイトと受発注システムでは管理会社や作業できる時間が異なります。まずは、PHPを使う対象と、その更新を誰が担当するかを一覧にします。利用状況が分からない対象も、未確認として残します。
| 対象 | 用途 | PHPの状況 | サポート期限 | 管理・確認先 | 業務への影響 |
|---|---|---|---|---|---|
| 受発注システム | 取引先からの注文受付 | PHP 8.2と確認 | 2026年12月31日 | 保守会社 | 止まると注文を受けられない |
| 社内管理画面 | 注文内容の確認 | 確認中 | 未確認 | システム担当者 | 出荷指示を確認できない |
| 旧キャンペーンサイト | 過去の案内ページ | 確認中 | 未確認 | 制作会社 | 公開を続ける必要があるか要確認 |
上の表は架空の例です。公開範囲や影響が大きい対象、期限が近い対象から確認し、更新作業の順番を決めます。PHPのバージョンが同じでも、複数のサーバーや別システムがある場合は、それぞれを確認します。
サーバーやOSの提供元による独自サポートがある場合は、提供元とその期限も記録しておきます。
期限から逆算した更新計画の例
たとえば、PHP 8.2を利用する受発注システムで、2026年12月中旬までの本番切り替えを目指す場合を考えます。次は作業の順番を示す架空の例であり、実際に必要な期間はシステムの状態と担当会社の空き状況によって変わります。
| 時期の例 | 進めること | 社内で決めること |
|---|---|---|
| 10月下旬 | 現状調査を依頼し、対象と期限を整理 | 担当者と調査範囲 |
| 11月上旬 | 調査結果を確認し、改修・検証の見積もりを取る | 予算と発注する範囲 |
| 11月中旬〜下旬 | テスト環境で更新・修正を行う | 動作確認に参加する担当者 |
| 12月上旬 | 注文登録、帳票、メール通知などを確認 | 不具合を直してから進める基準 |
| 12月中旬 | 本番切り替えと業務上の確認 | 停止時間、連絡先、切り戻しの判断者 |

計画に余裕を持たせる理由は、更新作業だけで完了しないためです。たとえば、帳票の出力や外部サービスとの連携に問題が見つかれば、修正後にもう一度確認する時間が必要です。年末など休業日が重なる時期は、担当者が確認できる日も先に押さえます。
見積もりを取る前に社内で用意する情報
保守会社に相談するときは、現在分かっている範囲で次の情報をまとめます。すべてがそろっていなくても、未確認の項目を伝えて調査から依頼できます。
- 対象システムの名前と、利用している業務
- 現在のPHPやサーバーの情報、管理会社
- 毎日使う画面や帳票、外部サービスとの連携
- 仕様書やソースコード、テスト環境の有無
- システムを止められる日時と、影響を受ける利用者
- サポート終了までに対応したいという希望
見積もりは、PHPの切り替え作業に加えて、事前調査、改修、テスト、本番作業が含まれるかを確認します。調査後に追加費用が発生する場合は、どの段階で再見積もりになるかも聞いておくと、予算を組みやすくなります。
本番切り替えの前に決めておくこと
「テストで問題なし」と報告を受けても、注文登録や帳票出力など、普段使う機能が確認されているとは限りません。現場で使う機能を社内担当者と保守会社で共有し、誰が確認するか決めておきます。
| 確認すること | 受発注システムでの例 |
|---|---|
| 動作確認の範囲 | 注文登録、検索、帳票出力、メール通知 |
| 切り替えの日時 | 注文が少ない時間帯と停止可能時間 |
| 切り戻し | 問題が起きた場合に、更新前の環境へ戻す手順、判断者、連絡先 |
| 注文データの扱い | 切り替え後に登録された注文を、元に戻す際にどう扱うか |
| 利用者への連絡 | 取引先と社内の窓口、案内するタイミング |
切り戻し先の環境にもセキュリティ上の問題が残る場合があります。戻す場合の公開範囲と、再度更新するまでの対応も、保守会社とあらかじめ決めておきます。
期限に間に合わない場合はどうする?
更新を急いでも、互換性の確認や改修に時間がかかり、期限までに完了できないことがあります。その場合は、予定を延ばすだけでなく、更新が終わるまでのリスクと業務への影響を確認します。
保守会社やサーバー提供元と、修正の提供状況、アクセス制限などの選択肢、残るリスクを相談してください。対策が難しい場合は、対象機能の一時停止や代替手段も含めて判断します。暫定対応だけで安全を保証することはできません。[2]
まとめ
まずは、社内で使っているシステムと管理先を一覧にし、PHPのバージョンとサポート期限を確認しましょう。そのうえで、調査から見積もり、改修、テスト、本番切り替えまでの予定を保守会社と相談します。
参考資料
[1]PHP公式「Supported Versions」 https://www.php.net/supported-versions.php
[2]IPA「PHPの脆弱性対策について」 https://www.ipa.go.jp/security/security-alert/2026/alert20261022.html
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