システム開発を外注することになったものの、
「最初に何をすればいいのか分からない」
「どこまで決めてから開発会社へ相談すればいいのか」
「見積もりを取った後はどう進めるのか」
と迷う担当者は少なくありません。
初めてシステム開発を発注する場合、専門用語を覚えることよりも、自社で何を準備し、どの順番で進めればいいのかを知ることが重要です。
結論から言うと、最初にやることは「作りたい機能を決めること」ではありません。
まずは、
- 今、何に困っているのか
- その問題をどう改善したいのか
- 誰がシステムを使うのか
を整理するところから始めます。
この記事では、システム開発を発注してから運用するまでの流れを、発注担当者が実際にやることを中心に11ステップで解説します。
最初に確認|すべての仕様を決めてから相談する必要はない
システム開発を依頼すると聞くと、
「必要な機能をすべて決めてから相談しなければならない」
と思うかもしれません。
しかし、最初から細かな仕様まで決める必要はありません。
相談前に最低限整理したいのは、次の3つです。
- 今、何に困っているのか
- その問題をどう改善したいのか
- 誰がそのシステムを使うのか
例えば、
「予約システムを作りたい」
だけではなく、
「電話予約を担当者がExcelへ手入力しており、入力漏れや二重予約が起きている」
と説明できれば、開発会社も必要な仕組みを考えやすくなります。
「何を作るか」より、まず「なぜ作るのか」を整理することが大切です。
システム開発を発注するときの11ステップ
システム開発の発注から運用までは、一般的に次のように進みます。
| ステップ | 発注側がやること |
|---|---|
| 1 | 課題を整理する |
| 2 | 現在の業務資料を集める |
| 3 | 依頼内容をまとめる |
| 4 | 開発会社を探す |
| 5 | 開発会社へ相談する |
| 6 | 見積もり・提案を比較する |
| 7 | 発注先を決めて契約する |
| 8 | 要件定義に参加する |
| 9 | 開発途中の内容を確認する |
| 10 | テスト・検収を行う |
| 11 | リリース後の運用を行う |

ここから、それぞれのステップで発注側が何をすればいいのか説明します。
ステップ1|まず「何に困っているのか」を整理する
最初に、システムを作る理由を整理します。
この段階では、機能を細かく考える必要はありません。
例えば、
- 毎月同じ情報をExcelへ転記している
- 集計に時間がかかっている
- 担当者しか分からない作業がある
- 入力ミスが多い
- データが複数のサービスに分散している
といった現在の問題を書き出します。
ここが曖昧なままだと、必要以上に多くの機能を作ってしまう可能性があります。
一方で課題が明確なら、「新しいシステムを作らず、既存サービスを活用する」という選択肢が見つかる場合もあります。
ステップ2|現在の業務資料を集める
次に、開発会社へ現在の業務を説明するための資料を集めます。
例えば、
- Excelファイル
- 業務マニュアル
- 現在使っているシステムの画面
- 紙の帳票
- 業務フロー
- 現在のデータ件数
- 外部サービスとの連携状況
などです。
このために、きれいな資料を新しく作る必要はありません。
普段使っている資料を見せるだけでも、開発会社は業務の流れや問題点を理解しやすくなります。
ステップ3|依頼内容を簡単にまとめる
集めた情報をもとに、相談時に伝える内容を整理します。
最低限、次の内容をまとめておくと相談が進めやすくなります。
- システム開発の目的
- 現在の課題
- 利用する人
- 必要そうな機能
- 希望する時期
- 予算の目安
- 現在使用しているシステム
案件によっては、これらをRFP(提案依頼書)としてまとめることもあります。
ただし、小規模な案件や初期相談では、最初から正式なRFPを用意しなくても進められる場合があります。
複数の開発会社へ相談する場合は、できるだけ同じ情報を伝えることが重要です。
条件をそろえることで、提案や見積もりを比較しやすくなります。
ステップ4|開発会社を探す
次に、候補となる開発会社を探します。
確認したいのは価格だけではありません。
- 類似する開発実績があるか
- 得意な技術や分野は何か
- 要件定義から相談できるか
- どのような体制で開発するか
- 担当者とコミュニケーションを取りやすいか
- 公開後の保守に対応しているか
などを確認します。
システム開発会社を比較するときは、単純に「安い会社」を選ぶのではなく、今回の目的や進め方に合う会社かを見ることが重要です。
ステップ5|開発会社へ相談する
候補の会社へ、自社の課題や希望を伝えます。
相談の際は、欲しい機能だけではなく、その背景まで伝えましょう。
例えば、
「管理画面にCSV出力を追加したい」
だけではなく、
「現在は担当者が毎週データを手作業で集計しているため、その作業時間を減らしたい」
と伝えます。
背景まで伝えることで、開発会社から別の方法や、よりシンプルな解決策を提案してもらえる場合があります。
ステップ6|見積もり・提案を比較する
相談後、開発会社から見積もりや提案を受けます。

ここで注意したいのは、合計金額だけで判断しないことです。
例えば、
A社:500万円
B社:700万円
だったとしても、A社の見積もりにデータ移行や保守が含まれていなければ、単純にA社の方が安いとは判断できません。
比較するときは、
- どこまで開発するのか
- 要件定義は含まれているか
- テストはどこまで行うか
- データ移行は含まれているか
- 公開作業は含まれているか
- 公開後の保守は含まれているか
まで確認しましょう。
システム開発の費用については、システム開発の費用相場は?種類・規模別の目安と見積もりの内訳を解説で詳しく解説しています。
見積書の比較方法は、システム開発の見積もりの見方は?内訳・比較ポイントをサンプル付きで解説も参考になります。
ステップ7|発注先を決めて契約する
提案と見積もりを比較し、発注する会社を決めます。
契約前には、少なくとも次の内容を確認します。
- 開発範囲
- 金額
- 支払い条件
- スケジュール
- 納品物
- 検収方法
- 追加費用が発生する条件
- 仕様変更時の進め方
- 保守の範囲
特に重要なのは、今回の契約でどこまで対応してもらえるのかを確認することです。
発注側では当然含まれていると思っていた作業が、開発会社側では対象外だったということもあります。
見積書だけでなく、提案書や契約書も含めて確認しましょう。
ステップ8|要件定義に参加する
契約後は、開発会社と一緒に具体的な要件を決めます。
例えば、
- どの画面が必要か
- 誰が何を操作できるか
- どのデータを保存するか
- どのシステムと連携するか
- どの処理を自動化するか
などを整理します。
ここで重要なのは、開発会社へすべてを任せきりにしないことです。
開発会社はシステム開発の専門家ですが、自社の業務について詳しいのは発注側です。
普段の業務ルールや例外的な処理など、開発会社だけでは分からない情報を共有する必要があります。
要件定義については、要件定義を頑張るほど、プロジェクトが遅れる理由も参考にしてください。
ステップ9|開発途中の内容を確認する
開発が始まったら、完成するまで待つのではなく、途中の状態を確認します。
例えば、
- 画面のレイアウト
- 操作の流れ
- 入力項目
- 権限
- 表示内容
などです。
完成直前になってから、
「想像していた画面と違う」
「実際の業務では使いにくい」
と気付くと、修正に時間や費用がかかる場合があります。
途中で確認する機会を設けることで、大きな手戻りを防ぎやすくなります。
ステップ10|テスト・検収を行う
開発が終わったら、発注側でも実際にシステムを使って確認します。
この確認を「受入テスト」と呼ぶことがあります。
例えば予約システムなら、
予約登録
↓
予約内容の確認
↓
変更
↓
キャンセル
↓
管理画面で確認
というように、実際の利用方法に近い流れで確認します。
機能単体では問題がなくても、実際の業務の流れで使うと問題が見つかる場合があります。
契約で決めた内容を満たしているか確認し、問題がなければ検収します。
ステップ11|リリース後の運用を行う
システムを公開したら、実際の利用を開始します。
ただし、システム開発は公開して終わりではありません。
利用を続ける中で、
- 使いにくい部分を改善したい
- 新しい機能を追加したい
- 業務ルールが変わった
- 他のサービスと連携したい
といった要望が出ることがあります。
そのため、発注前の段階から、公開後は誰が保守や問い合わせ対応を行うのかまで確認しておくことが重要です。
既存のシステムを変更する場合は、システム改修の費用相場は?見積もりの内訳・高くなる理由と作り直しの判断基準も参考になります。
開発会社へ相談する前のチェックリスト
初めて発注する場合は、まず次の項目を確認してみてください。
- 現在困っていることを説明できる
- システムを作る目的を説明できる
- 誰が使うのか分かっている
- 現在の業務資料を用意できる
- 必要そうな機能を整理している
- 希望する公開時期を考えている
- 予算の目安を考えている
すべてを完璧に決めておく必要はありません。
分からない部分も含めて相談できる開発会社を選ぶことも、発注先選びでは重要です。
発注時に起きやすい3つの失敗
1. 金額だけで開発会社を決める
安い見積もりでも、必要な作業が含まれていなければ、後から追加費用が発生する可能性があります。
合計金額だけではなく、何が含まれているのかまで確認しましょう。
2. 開発会社にすべて任せる
発注側にしか分からない業務ルールもあります。
開発会社からの質問に答えたり、途中の画面を確認したりするなど、発注側も開発に関わる必要があります。
3. リリース後の運用を考えていない
システムは公開後にも、保守や改善が必要になる場合があります。
誰が問い合わせ対応をするのか、障害が起きた場合は誰に連絡するのかなども事前に確認しておきましょう。
まとめ
システム開発の発注は、開発会社へ「作ってください」と依頼するだけではありません。
発注側では、
課題整理 → 資料準備 → 依頼内容整理 → 開発会社探し → 相談 → 見積もり比較 → 契約 → 要件定義 → 開発中の確認 → テスト・検収 → 運用
という流れで進めます。
初めて発注する場合でも、最初からすべての仕様を決める必要はありません。
まずは、
「今何に困っていて、それをどう改善したいのか」
を整理するところから始めます。
その内容を開発会社へ共有し、相談しながら必要な機能や進め方を決めていけば問題ありません。
また、発注後も開発会社へ任せきりにせず、要件定義や途中確認、受入テストに発注側も関わることで、実際の業務に合ったシステムを作りやすくなります。
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「何から決めればいいか分からない」 「まだ要件が固まっていない」 「まずは開発できるか相談したい」
という段階でも問題ありません。
現在の課題や実現したいことを整理しながら、必要な機能や進め方を一緒に検討できます。
